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2011年冬推薦図書


明大建築/計画・設計スタジオワークス展 2012 WINTER

□ 主 催 明治大学理工学部建築学科
□ 期 間 2012年1月31日(火)?2月28日(火)
□ 場 所 明治大学生田図書館 Gallery ZERO

専任教授 小林正美 推薦

学習用:『 東京再生 Tokyo inner city project
 ハーバード・慶應義塾・明治大学プロジェクトチームによる合同提案 』

レイナー・バンハム:著 石原達二、増成隆士:訳 原広司:校閲
学芸出版社 2003年 518.8/235//S

ハーバード大学、慶応大学、明治大学の大学院生たちが取り組んだ東京再生のためのシナリオ。将来の東京のビジョンを、具体的なプロジェクトとして示したところが内外に高かく評価された。小泉内閣による、「量的な東京再生」ではなく、生活の質の高い都心居住を推進する方法論を4つの具体的な敷地で検討した。本書を改めて見ると、これからはしっかりした都市のビジョンと結びついた建築群のデザイン論がますます求められていることが分かる。


作品集:『 Intervention II 都市への介入2 』
小林正美:著
鹿島出版会 2003年 520.8/270//S

著者が、建築が都市に関わることで都市を良い方向に変容させるという概念である「都市への介入(Intervention)」という概念を用いて、連続的に関わった自身の建築作品の紹介および都市デザイン論を展開している。個々の作品に共通のスタイルを持たせるというよりも、個別の敷地が抱える課題に対し、応答しているところが見どころである。

専任教授 園田真理子 推薦

学習用:『 空間<機能から様相へ> 』
原広司:著
岩波書店 2007年 岩波現代文庫 G-190

建築家原広司の思考の真髄を知ることのできる書である。簡潔に綴られた文章の裏にある膨大な知識の蓄積とそれを原資にした建築空間への着想の見事さを十分に吟味しつつ、丁寧に読んで欲しい一冊である。特に、「境界論」が面白い。


作品集:『 小さな家 1923 』
ル・コルビュジエ:著 森田一敏:訳
集文社 1986年 520.4/350//S
『 母の家 ヴェンチューリのデザインの進化を追跡する 』
フレデリック・シュワルツ:編著 三上祐三:訳
鹿島出版会 1994年 523/282//S

コルビュジエとヴェンチューリがそれぞれ自身の老親のために心をこめて設計した「小さな住宅」についての書である。モダニズムとポスト・モダニズムをそれぞれ代表する二人の建築家が小さな家をどのように設計していったのかを、直筆のスケッチやコメントで知ることができる。「建築をどう設計するか」の謎解きをしたい人に勧めたい2冊。両書を同時に手にしてみることがポイントです!!

兼任講師 福山博之 推薦

学習用:『 善悪の彼岸 道徳の系譜 』
フリードリッヒ・ニーチェ:著
筑摩書房 1993年 ちくま学芸文庫 ニ-1-11

図式的にいうと、ニーチェの思想はプラトンのような透明な理性の立場と対立関係に位置しています。そしてその透明な理性、あるいはキリスト教道徳、ヨーロッパ的心性が如何なる価値顛倒により組み立てられ、浸透させられたかを緻密に解き明かすのが「道徳の系譜」です。プラトン的な透明な理性は建築的思考の代表的な立場ともパラレルです。そしてその代表的な立場が成立したメカニズムを理解することにより、新しい立場を組み立てることが可能なのではないか?ニーチェを読む建築家の多くはそのようなことを考えています。


作品集:『 Anish Kapoor 』
Homi Bhabha、Nicolas Bourriaud、Jean de Loisy、Norman Rosenthal:著
Royal Academy of Arts 2009年 099/4009//S

ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アートで開催されていたアニッシュ・カプーアの展覧会のカタログ。カプーアの作品の多くは、「遠い/近い」や「重い/軽い」等の感覚によるものの存在を、その固定した意味から開放して別の意味をもつ存在 に変えてしまい、観る人にこの世の約束事から自由になったような開放感を与えます。

兼任講師 岡田公彦 推薦

学習用:『 消費社会の神話と構造 』
飯塚真紀子:著
紀伊国屋書店 1995年 331/1765//S

震災後の日本はどのような豊かさを求めていくべきか?この大きな転換期にあたり、大量消費社会の価値の構造を理解しておく必要があります。私たちは自分の欲求にしたがって物を消費していると思っているが、実はこの消費社会においては、社会のシステムそれ自身によって、私たちの欲求が産み出されているのだ、ということを鮮やかに示した1970年刊行の名著。


作品集:『 Studio Olafur Eliasson An Encyclopedia 』

Joachim Krausse、Claude Lichtenstein:編集
Taschen 2008年 099/4008//S

2007年のサーペンタイン・ギャラリー・パビリオンや、テートモダンのタービンホールに太陽を昇らせた「ウェザー・プロジェクト」でも知られるアーチスト、オラファー・エリアソンの作品集。科学的な実験をも思わせる、自然と建築、光と色彩を操る空間的、構築的なアートは建築関係者にとっても大きな刺激を与えてくれるでしょう。

兼任講師 西窪毅人 推薦

学習用:『 海・呼吸・古代形象 生命記憶と回想 』
三木成夫:著
うぶすな書院 1992年 460.4/132//S

三木成夫はそもそも医者であり、解剖学者です。医者であるという事は、人体という「モノ」もしくは「システム」としての人間、生命と向きあう職業であった訳ですが、そこを根っこにして生えた彼の地球全体、そして古代から脈々と続く生命のリズムにまで及ぶ思想は、いまだにとても新鮮な感覚を我々に与えますし、いきものの「すがたかたち」のもつ意味を教えてくれます。人間であるまえに、生物である事、生物である前に、「器官」である事。よく考えたら、僕らも建築や都市という「モノ」や「システム」を扱う職業ではあり、ぼくらは「すがたかたち」を作ります。立ち現れる「すがたかたち」ってなんだろうか?そんな事を、考えるきっかけになる本であり、彼の他の著書もとても魅力的です。


作品集:『 DISCONT 不連続統一体 』
吉阪隆正、U研究室:著 アルキテクト:編
丸善 1998年 520.3/17//S

吉坂隆正は、コルビジェの日本人3人の弟子のうちの1人として知られていますが、他の2人とは、表面的には全く違います。他の2人が「建築家」だとすると、彼は「建築家」という狭いカテゴリーに属す事すら無意味なような気がします。彼は、多くの実作を残すかわりに多くの思想、ことばを残しています。そんな意味で、彼の残した建築は、すがたかたちを持った「ことば」なのではないかと思うのです。

兼任講師 畑本昌輝 推薦

学習用:『 都市と建築のパブリックスペース ヘルツベルハーの建築講義録 』
ヘルマン・ヘルツベルハー:著 森島清太:訳
鹿島出版会 2011年 520.4/116/D/S

オランダ人建築家ヘルマン・ヘルツベルハーデルフト大学での講義録をまとめたもの。建築の設計に関する基本的アイデアを体系的に様々な事例とともに紹介しています。建築の設計が建築物内部のみにとどまらずヒューマンスケールから都市スケールまで広範に渡って関係していること理解するのには最適な本。教科書として何度も読んでほしいと思います。


作品集:『 Architecture without architects,
an introduction to nonpedigreed architecture. 』

Museum of Modern Art:著 distributed by Doubleday
Garden City 1964年 520/81//K

題名の通り建築家の設計ではない建築物及び集落を紹介している本。根源的に建築が何の為に、どうして作られ続けているのかを考えるきっかけになると思います。人々がある土地に生まれ、行きて行く為その場所にある物をその場所に適した空間を作る為に用い建築物を造り、それが街の風景となる。建築と都市の背景にあるものを見つけてほしいと思います。

兼任講師 三笠友洋 推薦
学習用:『 忘れられた日本人 』
宮本常一:著
岩波書店 1984年 岩波文庫 青-164-1

民俗学者宮本常一の名著。著者自身が自ら歩き見聞きしてきた村々の暮らしを記述した本である。コミュニティとかアクティビティといった言葉が建築設計の中で交わされることがあるが、この本に描かれた具体的な生活の姿は、そのような語り方がいかに多くの物事を見えなくさせているかを気づかせてくれる。本書で紹介される共同体とその生活の奥行きと彩りを感じ取り、自ら見て、聞いて、考えて、語ることの重要性を感じ取ってほしい。


作品集:『 空間に恋して 』
象設計集団:編著
工作舎 2004年 520.8/366//S

本書を作品集という概念に納めるのは適切ではないかもしれない。象設計集団の33年にわたる活動を表現した本である。竣工写真といえるような写真がほとんどない。やたらたくさんの人が登場する。断片的な言葉が無数に詰め込まれている。その異様さの中に彼らの世界観を感じ取ってもらいたい。人が場所と結びついて暮らすことの美しさと楽しさを。