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2012年夏推薦図書


明大建築/計画・設計スタジオワークス展 2012 SUMMER

□ 主 催 明治大学理工学部建築学科
□ 期 間 2012年7月28日(土)?9月27日(木)
□ 場 所 明治大学生田図書館 Gallery ZERO

専任教授 山本俊哉
学習用:『 長寿命建築へ リファイニングのポイント 』
青木茂:著 都市建築編集研究所:編集・制作
建築資料研究社 2012年 520.8/372//S

建物も健康で長生きできるよう新たな生命を吹き込む必要があると説く。著者の青木茂・首都大学東京教授が提唱するリファイニングは、いわゆるリフォームやリノベーションとは異なる。すなわち、老朽化した建物を再利用して産業廃棄物とCO2の発生量を大幅に減らしながら、構造躯体の軽量化と補強により耐震性を向上させ、新築の60〜70%の予算で、内観・外観とも新築と同等以上の仕上がりにする建物の新たな再生手法である。本著は、事例を交えつつそのポイントを解説した新刊本。

作品集:『 再生建築 リファインで蘇る建築の生命 』
青木茂:著
ユーディ・シー 2009年 520/344//S

リファイン建築ないしはリファイニング建築を提唱し実践する建築家・青木茂の作品集。出世作の宇目町役場庁舎をはじめ2008年までに完成したプロジェクトを中心に、青木茂が手がけた公共施設やオフィス、店舗、住宅の25作品について、リファインの従前・従後の建築物の写真を掲載し、そのプロジェクトの背景を含めて解説している。ちなみに、リファイン建築を繰り返すことによって建築の長寿命化を図る手法を青木茂はリファイニング建築と呼んでいる。


兼任講師 村松基安
学習用:『 イサム・ノグチ 空間の研究 』
アナ・マリア・トーレス:著 佐藤尊浩、佐久間祐一:訳
マルモ出版 2000年 712/45//S

イサムノグチの空間に関わる,ランドスケープ,アースワーク,プレイグラウンド,庭園,公園,広場,メモリアル,噴水,などのデザインについて総括的に研究され,まとめられた本です。都市や自然,大地との関わりの中で,恣意的な形や造形の操作に陥ることなく,絶え間なく空間の本質を追究したイサムノグチの生き様に迫るものです。写真や図とイサムノグチ本人の短文により作品の空間性の分析を超えて,場所と空間と時間,全体と部分との関係,時間や季節を表現する機能としての光,地形や形態,素材,質感,プロポーション,スケールなどに加え,視座を見る人や体験する人に置き,その感受性や想像力への働きかけにより人の内面を豊かにすることを追求し続けた姿勢を,読み解くことができます。私たち建築や都市に関わる者が,一時の思いつきに終わること無く,人が豊かに生きる環境を真摯に深く追求していく姿勢を,改めて考えさせられる一冊です。

学習用:『 Play mountain Isamu Noguchi + Louis Kahn 』
イサム・ノグチ、ルイス・カーン:作 マルモプランニング:編集 ・制作
マルモ出版 1996年 518.8/641//S

作品集:『 イサム・ノグチ庭園美術館 The Isamu Noguchi Garden Museum Japan 』
イサム・ノグチ日本財団:企画・編集
イ サム・ノグチ日本財団 2009年 712/46//S

イサムノグチ庭園美術館をイサムノグチの言葉とともに紹介する作品集です。彫刻家イサムノグチが過去から未来への贈り物として高松市牟礼に遺した,建築群(移築した民家による自らの住居であるイサム屋,作業蔵,展示蔵)と外部のアトリエである石壁のサークル,彫刻群,小高い丘を修景して整えられた彫刻庭園,急な斜面に荒々しく重ねられた石の流れなどにより総体としての環境が造り出され,単なる個の彫刻や建築を超え,環境芸術という言葉を超えたなにかが,そこに現われています。


兼任講師 土屋辰之助
学習用:『 建築家なしの建築 』
B. ルドフスキー:著 渡辺武信:訳
鹿島出版会 1984年 520/134//S

建築に作家性は必要であるが、ある時にはそれが、より素直な建築を生み出すことを阻んではいないだろうか。建築は衣服と同じく人間を囲覆(イフク)するものであり、人間の存在に密接に関わっている。この本に収められた写真を見れば、建築にはある種のユーモアが存在し、人間が生きていくという本質が表れるものであることがよくわかると思う。そしてそれらは今、私達の創造するものよりもっとクリエイティブでシンプルであったりする。

作品集:『伊勢神宮 』
石元泰博:写真
岩波書店 1995年 099/2794//S

パルテノンはその生成過程を石に転写することで永遠性を獲得したのに対して、イセは式年遷宮により、木造によって繰返し初源を再生させることでその永続性を保持していることは興味深い。磯崎の言うようにそれが「始源のもどき」であったとしても、ひとつの完成された(イセの場合は永遠に完結しないのだが)様式から学び取ることは多い。但し、関野克の言うように技術史なくして様式史は存在しないこともつくる者としては重要な視点である。

兼任講師 武富恭美
学習用:『 ビルディングタイプの解剖学 』
五十嵐太郎、大川信行:著
王国社 2002年 523/359//S

設計課題、そして実際の設計も何らかのビルディングタイプを設定しているものが多い。建物のプログラムを分析し機能的に配置する、建築計画学に基づく近代のビルディングタイプは、(コールハースが指摘したように)マンハッタンに建つ摩天楼の外部と内部が断絶し、火力発電所が美術館になり、(僕たちが課題を通じて考察したように)ワーキングスタイルの変化によってオフィスのあり方が変容する現在、揺らいでいる。新しい建築の提案には既存のビルディングタイプの起源を知ることも重要であり、本書はそのための良書である。

作品集:『 rundrißatlas Wohnungsbau Floor plan manual housing 』
Birkhäuser 2011年 099/2885/C/S

住宅のタイポロジーを扱った図面集。コルビュジェ、ミースからOMA、妹島和世、藤本壮介まで、第二次大戦以降の住宅150余りを掲載する。平面図は縮尺1:200で統一されているので相互に比較しやすく、スケール感覚を養うにもいい。また断面図、配置図、アクソメ、写真なども豊富で、建物の特徴を理解しやすい。住宅というビルディングタイプが時代とともに変遷していくプロセスも解説されている。


兼任講師 高橋潤
学習用:『 異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 』
チャールズ・サイフェ:著 林大:訳
早川書房 2003年 410.2/76//S

無と無限により比を無効化するゼロはギリシャ哲学から禁忌され、西洋哲学の中心的な教義と衝突をした。
バビロニア、インド、イスラム文明で発達したゼロという概念がようやく中世にヨーロッパへ伝播し、数学や物理学はもとより、天文学、宗教、哲学、音楽、建築、美術と多岐にわたる分野に大きな影響を与えた。
筆者は様々な事例を交えながらその模様を語る。建築をただ一つの分野として捉えるのでなく、文明の一切断面として、そしてその背後には膨大で複雑な人類の営みがあることを再認識させてくれる。

作品集:『 Visionary architects Boullee, Ledoux, Lequeu 』
Jean-Claude Lemagny:著
Hennessey+Ingalls 2002年 520.8/34/B/S

本書は幻視の建築家と呼ばれるブーレー、ルドゥー、ルクーの展覧会のカタログである。18世紀末から19世紀初頭のフランスで革命建築と称されるムーブメントがあった。厳格な幾何学的形態を用い、建築により社会を変革しようとする前衛的な様式で、これまでに無い単純で純粋な形、従来の特権的な建築を社会と結びつけた新しい思想は近代建築の始原とも評価される。その斬新なデザインは現在でもイメージの源泉として多々参照され、この機会に一読することを薦めたい。

兼任講師 塚田修大
学習用:『 構造設計の詩法 』
佐々木睦朗:著
住まいの図書館出版局 1997年 527/206//S

昔、僕が伊東事務所に所属していた頃、建築家伊東豊雄と構造家佐々木睦朗のパートナーシップは傍で見ていて、とてもエキサイティングな関係だった。建築家の挑戦的なイメージと構造家の斬新なアイデアが見事な化学反応を起こし、数々の名作を生み出していた。両者の関係はとてもフラットで、僕の持っていた建築家とエンジニアのイメージを大きく変えてくれた。建築というと建築家にのみ目を向けがちな学生諸君に、この本を通じてエンジニアの存在にも興味を持ってもらいたい。そうすれば彼らもまたデザイナーであることが解る。

作品集:『 スーパーシェッズ 大空間のデザインと構法 』
クリス・ウィルキンソン:著 難波和彦、佐々木睦朗:監訳
鹿島出版会 1995年 526/102//S

建築において技術を進歩させてきたのは、より長く、より大きな空間を作りたいという人間の根本的な欲望である。大空間の架構に引込まれるのは、それが人間の本能の部分に働きかけるからではないか。この本は、工場のような巨大な架構建築物−スーパーシェッズ−に特化した建築作品集である。ともすれば華々しい建築の影にかくれてしまうシェッズの再評価を通して、建築におけるエンジニアの重要性に気づかせてくれる本である。学習用図書で紹介した佐々木睦朗の監訳である。学習用図書と合わせて読んでもらいたい。


専任准教授 田中友章
学習用:『 建物のあいだのアクティビティ 』
J・ゲール:著 北原理雄:訳
鹿島出版会 2011年 518.8/604//S

現代においても、都市におけるオープンスペースの公共的価値をめぐる議論は盛んである。本書では、単なるハードウエアとしての建築物の整備のみならず、複数の建物が連担して生まれる「建物のあいだの空間」、その空間が受け入れる多様なアクティビティ、そして、人々の交流やつながりを考察することによて、都市の総合的な質の可能性を論じている。1971年にデンマークで出版されて以降、各国語に翻訳され版を重ねてきた「Life Between Buildings」の邦訳新装版だが、現在読み直しても十分通用する視点と価値軸を示す書物である。

作品集:『 Conceptual diagrams 』
Pyo Mi young 「Conceptual diagrams」、Maeng Ki young 「Activity diagrams」:著
DAMDI 2011年 099/3669//S

ダイアグラム。それは、アイデアを単純化/抽象化したかたちの図像に置き換えることにより、的確に相手に伝えるための道具として使われる。建築のプレゼンテーションにおいては、多くの情報を含み具体の設計内容を示す図面・模型と、言葉として示されるコンセプトを仲立ちして取り結ぶ役割を果たすことも多い。本書には、数多くのダイアグラムが掲載されているが、的確にアイデアを伝えるためには、いろいろな道具立てがあり、的確なダイアグラムを描くことが大事であることを知るのに有用な書物である。ただし、本来の建築の設計内容は、建築言語を図面等によりしっかり語る必要があることは言うまでもない。