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2013年夏推薦図書


明大建築/計画・設計スタジオワークス展 2013 SUMMER

□ 主 催 明治大学理工学部建築学科
□ 期 間 2013年7月25日(木)?9月5日(木)
□ 場 所 明治大学生田図書館 Gallery ZERO

専任教授 田中友章
学習用:『 現代都市理論講義 : radical urbanism of the 1960s-70s 』
今村 創平:著
オーム社 2013年 518.8/688//S

1960年代から70年代にかけて、近代の見直しへの潮流とともに、世界各地で同時的に発生した都市と建築をめぐる論考について、俯瞰的に捉えて解説・読解することを試みた書物。10の章に分けて、メタボリズム、アーキグラム、アレグザンダー、ロッシ、ヴェンチューリ、ロウなどが展開した理論とプロジェクトが網羅的に取り上げられている。個別の思潮を深く掘り下げるというより、まずその時代の歴史感覚と理論の広がりや枠組みを大まかに捉えるために読むと良い。現代の都市や建築を理解し、構想するためには、そこへと至る時代の変遷や潮流を理解する必要がある。その道程に歩を進めるにあたって随行するに良い一冊。

作品集:『 日本の民家一九五五年 』
二川幸夫:企画・編集・撮影
エーディーエー・エディタ・トーキョー 2012年 099/4202//書庫S

昨年末から今年の春にかけて開催された同名の展覧会のために、1957-59年に刊行された「日本の民家」から2012年の視点で再編集した写真集。「GA」を出版する「A.D.A.EDITA Tokyo」を創設し、建築写真家として活躍した二川幸夫さんが1950年代6年間に渡って日本の民家をめぐる旅をしながら成した若き日の仕事の一端をみることができる。「自らの視点を持つこと」と「行動すること」の大切さを改めて感じさせる一冊。まさに建築の目利きであった二川幸夫さんは、この展覧会開催中の3月5日に亡くなられたが、改めてその功績を讃えたい。


専任教授 山本俊哉
学習用:『 まちづくり:デッドライン : 生きる場所を守り抜くための教科書 』
木下斉, 広瀬郁:著 日経アーキテクチュア:編
日経BP社 2013年 518.8/689//S

衰退という厳しい現実に直面している日本のまちをどう守り、どう変革するか。建物とまちの再生事業を手がける2人の著者がデッドラインを設定して迅速に事業化する方法論を説く。つまり、まちの中心部に増え続けている遊休不動産に目をつけ、それを最小限の投資で活用する「まち会社」を設立し、バリューネットワークを広げて連鎖的に事業化するアクションを示している。挿絵や最新事例が数多く、とても読みやすい。

作品集:『 ソーシャルデザイン・アトラス: 社会が輝くプロジェクトとヒント 』
山崎 亮:著
鹿島出版会 2012年 518.8/657//S

コミュニティデザイナーとして最近脚光を浴びている著者が紹介する世界のソーシャルデザインの作品集。ハーフメイドでコストを抑えて「みんなで増築する公営住宅」もそのひとつ。子どもも参加した住民ワークショップを通して増築部分の色と形のルールを定め、各住戸の個性を出しつつ、統一的な景観をつくり出している。その後、チリ国内では同様の公営住宅が各地でつくられ、米国のハリケーン「カトリーナ」復興時にもこの方式が踏襲された。


兼任講師 武富恭美
学習用:『 知の広場 : 図書館と自由 』
アントネッラ・アンニョリ:著 萱野有美:訳
みすず書房 2011年 010/105//S

図書館が変わりつつある。手を洗い黙って読書や調べ物をするところというイメージは過去のものになり、サンドイッチとコーヒーを片手に本を読める図書館も増えてきた。イタリア人の著者は、民主主義の原動力であった広場などの公共空間の商業化が進み、情報交換や討論の場が無くなりつつある今、図書館こそ出会いの場へ、「屋根のある広場」へと生まれ変わるべきだと説く。

作品集:『 日本の広場 復刻版 』
都市デザイン研究体:編著
彰国社 2009年 518.8/525//S

アンニョリ女史の「広場」はいかにもヨーロッパ的である。そもそも日本に広場はあったのだろうか。本書は広場を、人間を相互に関係づける装置、コミュニケーションの節点として利用される人工のオープン・スペースと定義し、「日本の広場」の例として境内、泉、横町、町角、河原などを挙げる。「広場」の意味するところ、歴史的変遷、文化による相違を考える際のヒントがある。『建築文化』1971年8月号の復刻版。


兼任講師 高橋潤
学習用:『 デザイン思考が世界を変える : イノベーションを導く新しい考え方 』
ティム・ブラウン:著 千葉敏生:訳
早川書房 2010年 336/513//S

デザインから社会・欲望を照射せよ。

作品集:『 OMA@work.a+u : レム・コールハース 』
レム・コールハース:文 吉田信之:編
エー・アンド・ユー 2000年 520.8/194//S

社会・欲望からデザインを照射せよ。


兼任講師 塚田修大
学習用:『 磯崎新の「都庁」 : 戦後日本最大のコンペ 』
平松剛:著
文藝春秋 2008年 526.3/64//S

僕が学生の頃、建築界の巨匠と言えば磯崎新で、丹下健三はすでに歴史の人といった「感じ」があった。丹下の都庁舎は既に完成していたが、学生の僕にはあまり刺激にならなかった。一方、磯崎は建築作品、というよりは、多くの著作や一連のANY会議で刺激的な言説をし、建築論壇を取り仕切っている人、また数々の名作をコンペで選び出す名フィクサー、そんな「感じ」だった。でも僕のちょっと上の世代はもう少し違う「感じ」方をしていると思う。おそらく学生諸君はもっと異なるだろう。同時代に生きているつもりが、既に違う時代にいるようでもある。単なる歴史書を読んだだけではその時代の詳細は解っても、その時代を「感じ」ることはできない。しかし、物語小説の形式をとるこの本は、そんな時代を「感じ」ることのできる珍しい本である。日本の近現代建築史を「感じ」たい学生におすすめの本である。

作品集:『 日本の建築遺産12選 : 語りなおし日本建築史 』
磯崎新:著
新潮社 2011年 521.8/179//S

伝統建築に触れるきっかけは何でも良いと思うが、こんな本はいかがだろうか。
建築史家ではなく建築作家が書いた歴史書は、一般的な歴史書とは一風変わったものとなっている。この本では磯崎がセレクションした12の建築物が、6テーマに分けられ対になって紹介される。この極めて構成的な組み方からして磯崎らしい。一般的に有名な伝統建築物が欠落してたりするところも、まさにそうだ。一般的史実を紹介するというよりは、歴史を新たにデザインしようとしている意図を感じる。写真も多いし、文章もさほど難しくない。何よりページが少ないのは学生向きか。ただし、その本の厚みほどには内容は薄くないので注意されたし。

兼任講師 土屋辰之助
学習用:『 サイト : 建築の配置図集 』
松岡聡, 田村裕希著 = SITES : Architectural workbook of disposition / Satoshi Matsuoka, Yuki Tamura
学芸出版社 2013年 520.8/383//S

人間のつくる建築は常に何かとつながっている。人間同士の関係性(≒都市)であったり、自然であったり・・・。動物の巣であればサバイバルの為に只々合理的につくればいいのかもしれないが、建築は開いたり閉じたりしなければならない、常に矛盾を抱えている複雑なもので、だからこそ様々な可能性に溢れているとも言える。配置、平面、断面というのはその関係性を示す、作図という手法を用いた共通言語である。
本書のように、同じ表現、同じスケールでまとめることで建築家、作品、時代による表現は取り払われ、より平滑に比較することができる。また、米粒のような状態から各部屋(空間)の関係がわかる状態まで引いたり近づいたりして見てみることは設計行為そのものだ。実際の建築を設計行為の方法で見直してみることは、自分の設計に役立つに違いない。設問もあり、学習ドリルのような構成にもなっているので、夏休みの宿題でやってみては?

作品集:『 Utzon : inspiration, vision, architecture 』
Richard Weston:著
Bløndal 2002年 099/3721//S

デンマークの建築家Jorn Utzonの建築はもちろん、シドニーオペラハウスが有名だが、バウスベアの教会、いくつかの集合住宅のようなものもあり、系統立てて理解することは中々難しい。しかし、バナキュラーな建築に惹かれていたり、いいと思うものを素直に追究し自分の建築に取り入れている様子を見ると何となく理解できるような気がする。本書にちりばめられている、彼が影響を受けたとしている建築は僕たちにとっても魅力的だ。アノニマスにすら感じるスタイルの無さは、建築家とは一定のスタイルを保持するものだといつの間にか決めつけていたことを改めて自覚させられる。しかし、シドニーオペラハウスの建設はゴシックの聖堂の建設に匹敵するイベントであった訳だが、ガウディのサグラダファミリアが完成してしまったら今後そのような建築(高さや大きさや過激さでの競争は別にして)は果たして生まれるのだろうか。


兼任講師 宮部浩幸
学習用:『 日本の都市空間 』
都市デザイン研究体:著 彰国社:編
彰国社 1968年 519/210//S

インターナショナルスタイルの限界がCIAMの解体に象徴されてから数年後、日本は高度成長期のまっただ中という1968年にまとめられた日本の都市についての本。今でも色あせない都市における様々な空間手法が紹介されている。考察には書かれた時代背景が見え隠れするところもある。現在という立ち位置でこの本を読むことが肝要。

作品集:『 Katsura : imperial villa 』
Arata Isozaki ... [et al.] ; edited by Virginia Ponciroli ; [translation, Richard Sadleir] ; : pbk
Electa Architecture 2007年 521.8/173//S

桂離宮の美しい写真集。ブルーノ・タウト、グロピウス、丹下健三、磯崎新などがどのように桂離宮を捉えていたのかも興味深い。実際に桂離宮を訪ねてからこの本を見ると空間体験が蘇り、写真が捉えている空間の意味がよくわかる。本だけでなく、是非、実物を見てほしい。