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2009年夏推薦図書


明大建築/計画・設計スタジオワークス展 2009 SUMMER

□ 主 催 明治大学理工学部建築学科
□ 期 間 2009年7月30日(木)?9月13日(日)
□ 場 所 明治大学生田図書館「Gallery ZERO」


専任准教授 山本俊哉 推薦

作品集:『 現代の都市デザイン 』
伊藤ていじ
彰国社 1969年 519/148//S
著名な建築家・磯崎新が若き頃、建築専門誌「建築と文化」に書いた都市デザイン論が巻頭文を飾る。磯崎はこの中で、都市の総体と部分の直接的な関係の探求や、構成要素の細部にわたる認識は無意味であるとして、都市をパターン、エレメント、システムの3つの観点から分析することを提唱した。都市デザインの具体的で基本的な目標は、都市のエレメントを動的に構成するトポロジカルな手法により、様々なタイプを創造することであると指摘する等、現代の都市にも通用する理論が簡潔明瞭に論述されている。

学習用:『 まちづくりの科学 』
佐藤滋
鹿島出版会 1999年 518.8/25//S
1970年代以降のまちづくりの理論と実践を整理し、これまでのまちづくりが何を目指し、どのような世界を実現してきたか。そこにはどのようなテクニックがあり、今後どのようなまちづくりが展望されるか。今日のまちづくりをリードしてきた研究者と実務家が共同執筆している。今回の設計課題の学習目標のひとつの「文脈解読」に関しては、山本俊哉の「文脈の解読とまちづくり」と「まちの文脈を解読する」が本書に収録されている。

専任准教授 田中友章 推薦

作品集:『 Sverre Fehn : the thought of construction 』
Per Olaf Fjeld
Rizzoli 1983年 520/293//K
1997年にプリッツカー賞を受賞し、今年の2月に没したノルウェーの建築家スヴェレ・フェーンの初期の作品集。「THE THOUGHT OF CONSTRUCTION」というタイトルに現れているように、「建築をその場所につくる」という建築の初源的なあり方を発展させ、北欧の地でそのデザインを実践してきた思考と結果が現れています。周辺のランドスケープと建築の関係の取り方、素材や架構への意識など、建築を学ぶ上でも参考になる点があるでしょう。他に、Monacelli PressやElectaからも作品集が出ているので、興味のある人は探してみてください。

学習用:『 都市と建築のパブリックスペース : ヘルツベルハーの建築講義録 』
ヘルマン・ヘルツベルハー:著 森島清太:訳
鹿島出版会 1995年 520.4/116//S
オランダを代表する建築家ヘルマン・ヘルツベルハーのデルフト大学での講義録を推敲したもの。自らの作品の背景をなす理論について、多くの事例や図版を交えて語られている。第1部Public Domain(公共の領域)、第2部Making Space, Leaving Space(空間をつくること、つくり込み過ぎないで残しておくこと)、第3部Inviting Form(心を誘う空間)の3部構成で、建築デザインにおいて留意すべき多様な事項に関する解説が合計28節にわたって展開されている。建築のデザインは単なるアイデアの模式レベルの置換に留まらず、多面的な思考を社会や空間や形態とやりとりしながら、具体的な人間が使う場所へ統合していくことであること教えてくれる、そして、そのための術を豊かな事例共に示してくれる書物である。


兼任講師 池村圭造 推薦

作品集:『 Adolf Loos : architecture 1903-1932 』
Roberto Schezen Kenneth Frampton Joseph Rosa
The Monacelli Press 1996年 520.8/117//K
今年の6月に再版になった、アドルフ・ロースの作品集です。建築写真の批判者だったロースにあって、頁の大半を建築写真で綴った作品集となると、ある種妙な感じもありますが、ビアトリス・コロミーナによると(「マスメディアとしての近代建築」より)、ロースの写真批判は、「自身の被写体=オブジェを文字どおり形成している」写真が、「透明なメディアと見なされること」への批判です。とすると、収録の写真を眺めながら、写真では表象が不可能だと説いたロースの空間の効果や感覚に思いを巡らせる、というのが本書の正しい見方のようにも思えます。

学習用:『 マスメディアとしての近代建築-アドルフ・ロースとル・コルビュジェ 』
ビアトリス・コロミーナ:著 松畑強:訳
鹿島出版会 1996年 520.4/126//S
コルビュジェがその建築との関係において人間を身体と捉えていたのに対し、ロースの建築では、人間はあらかじめその心性に身体との矛盾を孕んだものとして捉えられていたように思います。
マスメディアとの関わりを切り口に、本書は近代建築の寵児ル・コルビュジェとの比較によって、ロースの多重的な空間性を明らかにしていきます。
大衆的な分かり易さの席捲によって、時代が見落としてきてしまったかも知れない近代建築の可能性を再考する意味で、学期中ではなく夏休みに読んでもらいたい一冊です。特に、後半に収録の章「室内」は、一読をお薦めします。

兼任講師 前田道雄 推薦

作品集:『 Peter Zumthor ピーター・ズントー 』
a+u 臨時増刊 1998年2月号 
エー・アンド・ユー 1998年 520.8/194//S
ズントーの建築は、周囲に対応し、その地にある素材を用い、元々そこにあったかのように佇んでいる。しかし、そのあり方は他のものとは圧倒的に異なり、まるで違う時間の流れの中に棲んでいるようでもある。素材の寸法、光の扱い方、単純で印象深い形、それらの繊細な調整が建築を別種の存在へと変容させている。決して新しくなく、概念的でもないが、建築に要請される価値を考えれば、これが最も本質的で豊かな、建築へのアプローチなのかもしれない。

学習用:『 苔のむすまで 』
杉本博司
新潮社 2005年 704/300//H
良い建築、良い空間はどのようにつくることができるのか。これは私にとって常に変わらない問題であるが、必ず正しいと思えることの一つが深く見ることである。
杉本博司は時代を超越したような世界を現出させる、優れたアーティストであり、ここでは、彼の想う世界がモノとして結実する過程が、モノとコトに対峙した経験として示されている。古美術商であった経歴から、導かれたように圧倒的なモノと邂逅した体験、それがアーティストとしての根であることは間違いないであろう。


兼任講師 藤野雅統 推薦

作品集:『 James Stirling : die neue Staatsgalerie Stuttgart 』
Text:Thorsten Rodiek Photographien:Waltraud Krase 
Stuttgart : G. Hatje,  1984年
正統的なモダニズムに立脚し、1960年代から90年代ポストモダン期の建築界の重要な位置を占めるJ.スターリングの代表作。シンケルやブレーの新古典主義平面形式の援用や、クラシシズム、エスニシズム、モダニズム、ポップ、他の多様な建築語彙のマニエリスティックな再解釈、トラバーチンや砂岩とスチール、ガラスといった素材の対比、中庭を貫通する外部一般動線の扱い、等々、文化軸、時間軸、地理軸上のコンテクストとの緻密かつウィットに富んだ対応関係を見せるこの建物は、レイトモダニズムとも称される20世紀後半の建築の最良の到達点のひとつである。

学習用:『 モラリティと建築 』
デヴィッド・ワトキン 榎本弘之:訳
鹿島出版会 1981年 520/198//S
近代建築の理論的背景を、19世紀前半ゴシック・リバイバル期からの連続性の上で俯瞰的に検証し、この100年の論説には、「個人の意図を超えたところに時代精神というものが存在し、それに真摯に向き合って生み出されたもののみが最良の芸術である」という倫理規範(モラリティ)の通底していること、しかしそれは建築を、外在的な要因の表出の結果と見る態度にすぎず、建築そのものの価値を論じうるものではないことを論破する。その論考は、カウンタープロポーザルに乏しく批判的にすぎるきらいもあるが、それゆえに明快、鋭利かつ強靭。現代において益々重要性を増しているかに思える。


兼任講師 高橋潤 推薦

作品集:『 インフォーマル 』
セシル バルモンド:著 山形浩生:訳 金田充弘:翻訳
TOTO出版 2005年 524/498//S
先入観や常識を超えて、如何にして卓越した合理的デザインを達成するか。。。
この本を読んでみよう!

学習用:『 ハーバード流交渉術 』
ロジャー フィッシャー:著 ウィリアム ユーリー:訳 金山宣夫:訳 浅井和子:著
三笠書房 1989年 361/1255//S
対立しあうと思われる状況下で、如何にしてWIN-WINのデザインを発想するか。。。
この本を読んでみよう!

兼任講師 村松基安 推薦

作品集:『 ル・トロネ修道院 : 「ロマネスク」 』
磯崎新:著 篠山紀信:写真
六耀社 2004年 520.4/210-5//S
作品集:『Architecture of Truth』
Licien Hervé
PHAIDON PRESS 2001年 526.1/53//S
1950年代に出版されたルシアン・ヘルヴェによるル・トロネ修道院の写真集の復刻版です。ラ・トゥーレットの修道院の設計の参考のためにル・トロネ修道院を訪れたル・コルビジェによる序論と、ジョン.ポーソンによる後書きがあり、聖句やシトー修道会の言葉等が写真とともにレイアウトされていて、写真集としても美しい本です。
ルシアン・ヘルヴェの写真は、一目で修道院の全体像をわかるようには見せてくれません。その場に立ち、最も重要な時と場所と素材と光とを一瞬のうちに切り取ることにより、写真を見る者に、写真の枠から広がる空間と永遠に移ろう時間を、あたかもそこに居るかのように、詩情あるものとして感じさせてくれます。その感覚は、実際にそこを訪れた時のものを彷彿とさせます。この写真集と「粗い石」を合わせて読むことにより、私たちが建築とかかわって生きて行く上で、どのような姿勢や思想を保つべきかを考えさせてくれるように思います。
参考に、磯崎新と篠山紀信の写真による「建築行脚  中世の光と石 ル・トロネ修道院」やその復興版とも言える「磯崎新の建築談義#05 ル・トロネ修道院」の歪んだ写真や騒々しい解説と比較しても面白いと思います。

学習用:『 粗い石 』
フェルナン・プイヨン:著 荒木亨:訳
文和書房 1973年 953/207//S
私が将来の進路を思いめぐらせていた16歳の時、翻訳者から贈られた初版本を読み進むうちに、建築の不思議な魅力に取り付かれ、その後、建築への道を志す契機となった本です。
文体は少々読み難いのですが、シトー会の修道院であるル・トロネの僧院をつくる過酷な日常を、建築家であり工事監督者である修道士により日記に綴られた形で書かれている小説です。
それ自体動かない建築をつくることを追求することが、それを超越した、豊かな動きある時間や空間、精神性などを深く追求していくことになる、建築する行為の深さと豊かさを見つけることができる一冊だと思います。