住宅は、おそらく皆さんが最もよく知っているビルディングタイプだろう。しかし、この場合の「知っている」とは、慣れ親しんだイメージに束縛されているということかもしれない。この課題を通して、自分の知っている住宅像を無批判に前提とするのではなく、住宅を「建築」として組み立てることを学んでほしい。建築設計とは、要求された諸条件を解き、人が活動する空間環境へと構成することであり、また敷地内部だけでなく周辺環境をも積極的に再定義することである。この課題では、住宅を空間的・社会的に街にどのように「開く」かを皆さんに問いかけている。実感をもって、敷地内外に広がるコンテクストとそこに展開する人の活動をイメージしながら、案を発展させていこう。
建築の世界では、たった一枚のドローイングがそれまでの人々の価値観や空間に対する認識を大きく変えてしまう、ということが時々起こります。重要な建築作品には、完成した建物とは別に優れたドローイングの存在があったりする・・・そんなことも少なくありません。それだけドローイングは、建築家やデザイナーが建築物に込めた思想や理念を抽象的に表現するうえで重要な役割を果たしてきました。また、実務的にはクライアントや関係者の共感を得たり、コンペで仕事を勝ち取ったりするうえで建築家にとって欠かせないスキルでもあります。本課題は「プレゼンテーション・ドローイング」として、第一課題で設計した住宅を魅力的に表現し、提案内容の本質を直感的に伝達し、意図していなかった作品の展開可能性を示唆するような、そうした表現手段を探求することに挑戦してみてください。
生田キャンパスそば、西三田団地のほど近くに、イサム・ノグチのための私設美術館を設計する。ノグチは彫刻家として知られ、庭園・家具・照明器具・陶芸・舞台・建築など、幅広い作品を残しているが、この美術館は、ノグチ作品の収蔵家が彫刻作品わずか5点を恒久展示するために、住宅地のなかに開設する小規模な美術館である。クライアントからは以下のことが求められている。第1に、展示の入れ替えがある美術館とは異なる空間であり、すなわち、来訪者が特定の展示物にじっくりと向かい合い、来訪者と展示物が深く対話・交流できる空間である。来訪者の経験がどのようなものになるのか、十分に想像を働かせることが設計者に強く求められている。第2に、周辺の住宅地に住む人々(特に子どもたち)が、日常的に美術作品と美術制作に接することができるような、地域に開かれた美術館とすることである。具体的には、上記の作品経験のなかに、屋内外でのワークショップなどを通した学習や交流の場を組み込むことが求められている。以上の要求(設計条件)を十分に理解したうえで、入館から退館までの空間的体験(シークエンス)がこの美術館固有のものとなるよう、空間どうしの関係をデザインしてほしい。
専任教員:連勇太朗(幹事)・庄ゆた夏・川津彩可(幹事補佐)
兼任教員:神田篤宏、篠原明理、富永大毅、廣岡周平、佐々木珠穂、森田夏子、甘粕敦彦
助手:波島諒
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