地球温暖化やカーボンニュートラルの実装が求められる現在、2025年には大阪で万国博覧会が開催される。万国博覧会自体の存在意義、短期間のイベントに投資する妥当性、国際社会に与える文化的意味など、議論が充分なされているとは言えず、決して日本国民全体が支持しているとは思えない。また総合テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」も抽象的で今一つあいまいである。しかし、そういう時代だからこそ、リサイクル可能な新しい構造形式をイノベーションにより創造し、環境負荷が少ない建築空間を探求することが求められている。
万国博覧会を開催しないというのも一つの選択肢であるが、開催されるという前提に立って、もっとも先進的で次代のモデルとなる建物を企画・デザインし、スタディーすることの意味は大きい。
本スタジオはリアルタイムに進行する実際のプロジェクトの進行をにらみつつ、想定された敷地におけるテーマ館、国別のパビリオン、企業関係のパビリオンなどを各自選択し、設計デザインする。また、最終成果物によるデザインプロポーザルを想定し、構造、環境、材料、デジタルツールの利用、空間の連続性などを総合的に解決した企画書を作成し、具体的なデザイン提案を行う。
●担当教員:
小林正美・亀田康全(兼任)・平岩良之(兼任)・菅健太郎(兼任)
●授業の概要・目的:
本演習の獲得目標は,以下の4点である。
1.建築設計能力の発展のために必要となる能力の習得
2.設計に関わる与件を前提に,説得力のある設計をまとめる能力の習得
3.設計提案を的確に表現・伝達する能力の習得
4.建築に関わる多様な価値を前提に,周辺領域の展開を視野に入れた発展のために有用な専門的能力の習得
このため,本演習では以下の獲得目標を掲げる複数のスタジオを設定している。
1)複数の機能の関連性を的確に把握し,複雑な設計条件を解決しつつ設計を行う能力
2)ディテール,材料,組み立て方などを踏まえつつ,小さなスケールの空間やプロダクトの設計を行う能力
3)意匠・構造・設備それぞれの分野の知識を総合し,合理的かつ美的配慮に富む設計を行う能力
4)クライアントやユーザーの意見を集約し,的確な設計提案としてまとめる能力
5)既存の都市や建築のコンテクストを解読し,問題解決のための有用な設計提案をまとめる能力
●優秀作品の学生一覧:
服部友香|王柳カン|末吉祐貴|山本暁
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